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第六百九十二話_short 歪んだ考古学者 [allegory(寓意)]

「地中深くには様々な過去の事実が蓄積されているのです。我々はその事実を見つけ出して、地球の歴史を理解し、我々の真の姿を知ることができるのです」

 深く掘り起こされた穴の中で考古学者は力説した。取材カメラは学者の表情からパンダウンして掘られている穴の土壁を映し出した。そしてインタビュアーがさらに訊ねた。

「で、たとえばいまは何を探しているのですか?」

「ナンモナイトだ」

 学者は即座に答え、インタビュアーはさらに突っ込んだ。

「アンモナイトってことは、このあたりは海だったってことですね?」

「いや、そうじゃない。ナンモナイトだ」

「ナンモナイト?」

「そう。宇宙は無から生まれたとされておる。そんなことが可能なのかどうかわしにはわからん。だが、もしその証拠がこの土の下にあるとしたら? 宇宙が無から生まれたことを証明できるかもしれん」

「は? それがナンモナイト?」

「そうだ。掘って掘って、掘り尽くして、その結果ナンモナイところまで行きつくことができたなら、宇宙はなんもないところから生まれたと言えるのではないかね?」

 インタビュアーはしばし沈黙して考えた。カメラはひたすら掘り続ける学者の手元を大映しにしていた。

「先生……もしかして先生は博多のご出身ですか?」

「そりゃ急に、なんば訊いとると?」

「いえ、なんもないと? って……」 

アンモナイト.jpg 

                      了


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