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第七百六十四話_short 居場所センサー [literary(文学)]

 兄が大都会マラソンに出場すると知らせてきたのは半年も前のことだったが、ついに今日が当日になった。

 大都会マラソンは三万五千人もの選手が街を駆け抜けていくわけだが、当然その家族や友人たちが応援するわけだから、街じゅうに人があふれて大変なことになるのが予想された。

「でも兄さん、僕らはいったいどうやって応援すればいいの? 兄さんがどこを走っているかなんてわからないじゃない」

 単純に思ったことを聞くと、兄は笑いながら答えた。

「それがわかるんだな。ほら、靴に挟んだこのチップを、コースのポイントポイントにあるセンサーが読み取って、専用サイトに表示するんだ」

 すごい。最近のインターネット技術を使えば、いとも簡単にそんなことができるのだ。試しにスマホで専用サイトを表示させて、兄のチップ番号を入力してみると、兄の名前が現れた。だが、当然ながらまだスタートしていないので、兄の位置は出てこなかった。

「すごいね。こんなことができるんだね」

 関心していると、兄が言った。

「こんなのマラソンの時だけじゃないと思うぞ。これからは国民全員がこうやってどこにいて何をしているかが一目瞭然になるに違いないぞ」

 え? ああ、GPSのことを言ってるのだな、そう思って頷くと、兄は続けた。

「GPSもそうだけど、ほら、いよいよ始まるマイナンバーってやつ。あれって、このチップと同じようなものだと思う。マイナンバーが配布されて、そのうちみんながマイナンバーのチップが入ったものを身につけなきゃならなくなって、そうすれば街じゅうのセンサーが国民全員の居場所を即座に突き止めることができる、そんな時代になるんじゃないのかな?」

  便利な世の中……というよりも、なんだか恐ろしい話のような気がしてきたのだった。 

マイナンバー.jpg 

                      了


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