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第七百六十五話_short 緊急電話 [literary(文学)]

「あら? 昨夜十二時過ぎに着信があったみたい。ニ回も」

 妻の美子が自分の携帯電話を見て言った。

「深夜に? どこから?」

 トーストを齧りながら僕が訊ねた。

「ええーっと……富永病院? これって救急病院よねえ……」

 救急病院から夜中に電話があったというのはただならない気がする。

「折り返してみたら?」

 妻はすぐに折り返し電話を入れたが、病院の代表電話からの着信であり、病院側では誰が掛けたかわからないということだった。

「きっと間違い電話よね」

 妻は独り言を言いながら携帯電話を閉じて、その日はそのままそのことは忘れてしまったようだ。

 一日おいた朝。また妻が言った。

「あらぁ? また。富永病院から昨夜の十二時五分に着信が入ってる」

 だいたい夜中に電話というのは間違い電話じゃなければ緊急のなにかがあったときだ。それも病院からとなれば、普通じゃないと思うのが普通だろう。

「深夜に病院の代表電話からかける電話って、普通は私用じゃないよな。なにか事務的なっていうか、もっと緊急の場合にしかそんなところからかけないよな?」

 僕の言っていることを理解したのかどうかわからないが妻もなにか思いついたようだ。

「誰かが事故に遭って、その人が持っていた携帯に私の番号があったからかけてきたとか」

 僕も思いついたことを半ば冗談で言った。

「それか、毎晩同じ時間にかかってくるあの世からの電話かも……」

 僕の言葉を無視して妻はまた言った。

「二晩も同じような着信だなんて気味が悪い。やっぱり何かあったんだわ」

 妻はもう一度富永病院に折り返し電話をかけた。

「もしもし。二晩続けて、お宅の代表電話から着信があったんです。夜中にですよ! すぐに調べてクd債。もしかしたら夫が事故に遭って運び込まれているかもしれないんです。病院の人が夫の携帯を見て私に電話をかけてくれてるんだと思うんです!」

 しばらくして病院から返事があった。やはり緊急の入院患者がいて、その人の家人に電話をかけたようだが、担当者が番号を控え間違えて妻の携帯にかけてきていたようだ。つまり完全に間違い電話であり、既にその家人とは連絡がとれているということだった。

 妻はほっとした表情でしげしげと僕を見ている妻に向かって、僕は訊ねた。

「なんで僕がここにいるのに、あんなことを病院に訊ねたの?」

「だって……ここにいるのは、あなたの幽霊かもしれないって思っちゃたんだもの」

 もともと死後の世界とかスピリチャルとか、心霊現象が大好きな妻ではあるが、ここまでとは。妻の思い込みにも困ったものだ。

死後の世界.jpg 

                      了


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