So-net無料ブログ作成
検索選択

第七百六十六話_short カミングアウト [news(時事ネタ)]

「最近さ、なんだかLGBTって話題になってるだろ?」

 唐突かと思ったけれども、それでも僕はさりげなく言ったつもりだった。LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの略で昔からある言葉だけれども、カムアウトする人が増えてきたためか、急に脚光を浴びるようになった言葉だ。

「ん? そうなの?」

 俊夫はあまり興味なさそうにそう答えてから、残り半分くらいになったハンバーガーを左手に、今度はコーラのストローを口に充てた。

 大学に入ってから軽音楽サークルで知り合った俊夫とは妙に気が合う部分があって、サークルの仲間の中でもいちばん一緒にいる時間が長い男だ。

「ほら、いまじゃ二十人に一人はそうだっていうじゃない?」

「え?なにが?」

「だからさ、LGBTがだよ」

「ふーん。そんなもんかなぁ?」

「そうだよ、そんなもんらしい」

「いや、でも、もうちょっと多いんじゃないの? 俺はそう思うけどな」

「多い? 俊夫はそう思うの?」

「ああ、俺だって好きだもの、そのLGBTってやつ」

 以外だった。俊夫がLGBTを好きだなんて。なんだ、気にすることなかったんじゃあないのかと、僕は内心少しほっとした。

「好きだって、まさかその、俊夫もその……そういうの興味あんの?」

 僕が少ししどろもどろになって訊ねると、俊夫は怪訝そうに言った。

「興味あるって……興味っていうか、たまには食いたくなるよね。みんなそんな感じなんじゃないの?」

 食いたくなるって……まさか俊夫にその方面で遊んでいるとは知らなかった。

「食いたくなるって? もしかしてそういう知り合いとかいるわけ?」

「知り合い? 別に知り合いじゃなくっても、目の前にあったら美味そうだななんて思うんじゃあないの?」

 じゃ、もしかして僕のことも既にわかってたのか? 僕の心臓がバクバクしはじめた。この流れなら、本当のことを俊夫に言うことができそうだったけれども、俊夫があまりにも普通にLGBTのことを話すので、逆に気後れしてしまったのだ。 

「も、もしかして、ぼ、僕のことも?」

「え? お前がどうしたって? ああ、そうか、知らんよ、お前のことなんか。お前だって好きだからそんな話をしはじめたんだろうよ」

 僕が好きだって? 違う、好きでこうなったんじゃない。生まれつきなんだよ、何も好き好んでゲイになったわけじゃない。そう言おうとしたとき、ハンバーガーの最後のかけらを口に放り込んだ俊夫が立ちあがった。

「お前がそんな話をするからさ、急に食いたくなったよ。ちょっと買ってくる。BLTバーガー」

 俊夫はBLT、つまりベーコンレタストマトバーガーの話をしていたのだ。

LGBT.jpg 

                      了


↓このアイコンクリックしてくれると、とてもウレシイm(_ _)m

                
          ショートショート ブログランキングへ

sponsor site

nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。