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第六百四十八話_short 参加する者 [literary(文学)]

 地下鉄から地上に出ると、大勢の警察官が出動していてなんだかものものしい雰囲気で歩道までもが規制されていた。気づかなかったが、たまたま訪れることになったこのエリアは、ちょうど国会議事堂を中心に官舎が取り巻く政治の街であった。

歩道が規制されているというのは、一部通行止めとなっていてその先へは目的に沿った者しか進めないようになっていた。ポールに張り紙がされていて「参加者のみお通りください」と書いてある。

はて、なんの参加者なんだろう。

素知らぬふりで通ろうとしたら、警備をしている警官に問われた。

「参加される方ですか?」

だから、なんの参加者なんだよ?

答えずに先を見ると大勢の人々が旗やプラカードを持って集まっているようだ。

"戦争憲法反対"

"国民を戦争に巻き込むな"

 少々過激な言葉も書かれていた。

ははあ、そういえば最近の話題は憲法改正だった。第九条だか、なんとか権だか、政治には皆目疎い私には覚えられない事柄について、与党が変更しようとしているのだ。

そのような改憲が日本を戦争に巻き込むことになるにではないかと恐れる市民がたくさんいて、反対運動をしているのだ。

なるほど、そういうことか。私はよくわからないけれども、戦争にはもちろん反対だ。

今日は時間もあるし、よし、よくは知らないが、とりあえずあの抗議デモには参加してみよう。

唐突にそう判断して、警備の警官に伝えた。

かっこええ、そうなんです。私は参加者です」

すると警官はガラリと態度を変えて直立不動で私に敬礼をして通路を解放した。

なんだ、大袈裟だな。デモに参加するだけなのに。

先へ進むと間もなく行列ができていて、私はその後ろに並んだ。

やがて列は建物の中に吸い込まれていき、私もその中にいた。建物の中をぐるぐる回って部屋の中に誘われるそのときどきに荷物を預けさせられたり、逆に迷彩柄の服に着替えさせられたり、なんだか銃器のようなものまで持たされたのだが、あまりにも混雑している上にみんながテンポよく進んでいくので、あれよあれよといううちに私は大型ヘリコプターに乗せられていた。

「さぁ、みんな! 負けるんじゃないぞ。国民の代表として、立派に闘ってくるのだ!」

隊長の声に見送られてヘリは地上を飛び立つのだった。

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第六百四十七話_short 動物園問題 [literary(文学)]

動物園を巡って、生き物の権利を主張するアニマルライツ団体と動物園サイドで様々な議論が繰り返されている。

「動物園の使命は三つあるんです。まずは動物の保護・育成、そして種の保存、さらに子供たちの教育です。これらはとても大切なことだとは思いませんか?」

園長はこう主張するのだが、団体の代表者も負けてはいない。

「保護とおっしゃいますが、そもそも動物が減ってしまったのは、我々が彼らの領域を侵したからじゃあありませんか。それに種の保存だって、自然の中で誰からも侵されることなく自然に繁殖することこそ大事なのではないですか? 教育だって、あんな檻の中に閉じ込めた動物を見せてなんになるんです? 自然の姿を見せてこそ、教育とよべるのでは?」

どちらの主張ももっともな気がする。

「自然の姿と言いますがね、私たちも研究しましたよ。しかしね、彼らは檻の中にいようが自然の中にいようが、食物を求め、それ以外は眠る。その姿はどちらも変わりませんよ」

「変わらない? そんなことない。彼らは時には何万キロも移動したりするんですよ。檻の中でそれができますか?」

「ふん、移動だって? それは近場で食物を手に入れることができないからですよ。すぐそこにそれがあれば、移動なんかするもんですか」

団体代表はそれでも食い下がる。

「いやいや、食べ物のために移動したり、手近で食べ物が手に入るように工夫したり、そういう自分たちで行うことこそが自然の営みというものじゃあないですか? 私はそれが彼らの権利だと言っているんです」

両者の意見はどこまでいっても平行線だ。

「だがね」

最後に園長が言った。

「我々は気が遠くなるほど長い年月、彼らを見守ってきた。それで彼らを自然のままにしておいた結果はどうだ? 彼らは自分たち以外の生命をないがしろにして、それどころか同じ種同士で殺し合いをしてまで自分たちだけが生き残ろうとし続けた。そのおかげで惑星の環境は破壊され、しまいには自らさえも滅亡の危機に追い込んでしまったのではないですかね?」

園長は光を帯びた指で檻をさしながら続けた。檻の中では四個体の家族がテーブルを囲んで楽しそうに食事をしている最中だった。

「ほら、見てください、あの家族を。毎日食事も与えられて、平和に暮らしている彼らは、案外幸せなんだと思いますよ。あれが人間のあるべき姿なんですよ」

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第六百四十六話_short 流行語 [comedy(笑噺)]

「その件、それがしにお任せくだされ!」

 営業の田中がそう言い放って飛び出していった。上司の山内は田中の後ろ姿を見送りながら目を細めて言った。

「なかなかあっぱれな奴よのう。成功した暁には、少しは褒美をやらねばならんのう」

 この部では唯一の女子社員……失礼、お局様の浜田女史以外にはだが……である広瀬が言った。

「あら、上様……褒美なら私もほしゅうございますわ」

「なら、おぬしも何か手柄をあげねばのうおなごとて余は甘くはせぬぞ」

 このところ世は歴史物が流行りのようで、女性たちの間でも歴女などという女子が現れて久しい。映画やテレビでも戦国時代や幕末を背景としたものも増えてきて、もとより時代小説が好きであった社長の影響もあって、うちの会社の中はみんな時代劇ンいかぶれてしまっているのだ。

 最初は広瀬あたりの若い女子が電話口で思わず

「わかりましたでござる!」?

 と言ったのを皮切りに、みんながそれを真似るようになり、みんなが面白がってさまざまな言葉を採用していくので、次第にそのような言葉が社内で定着してしまった。もはや誰もふつうンも言葉を使おうとしない。そんなことをすれば、ははあん、あいつは時代劇の言葉がわからないんだ、時代劇を見ていないんだ、と小馬鹿にされてしまうからだ。

 社内で流行している時代言葉は、取引先にも伝播していった。なにしろ電話口でも「~ござる」といわれるし、弊社を訪れるとみんなが「「拙者は」「わらわは」と言っているのだ。うつらないわけがない。

 そういうわけで、あくまでも劇中で使われる言葉であって、歴史的な言葉として正しいかどうかは定かではないが、少なくとも左様な言の葉が狭い世界で共有されたわけで、おそらく言語というものは斯様にして共有され、流行り言葉として伝播するもやがて通常の言語として定着していくのではなかろうか、拙者はそのように感じ始めているのでござるが、おぬしたちはいかように考えるのであろうか。

 今日のところは斯様なお話なのでござる……ござる。?

?るろうに剣心.jpg[コピーライト]和月 伸宏


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第六百四十五話_short 妄想性障害 [literary(文学)]

「次の選挙では、私は必ず当選いたします!」

 台東亮はみんなの前でそう明言した。

 信じていることを口に出すことで、それは自分だけの思い込みではなく、実現に向けた意思として世間にコミットされるのだ。

 まずはここから。この街を他のどこよりも素晴らしい都市にする。みんなが平等にしあわせになり、汚職や利権やそんな一部の特権者だけが得をするような社会を撤廃して、全市民が住みやすい街にするのだ。

 しかしそれだけに留まっているつもりはない。次にはこの国を理想的な国にするのだ。 ピケティが言ってるように、この世は格差社会になり下がってしまっている。そんなわけのわからない社会をいったん破壊して、国民全員が幸せになれる国に作り直すのだ。もちろん、その先にあるのは世界だ。これもピケティが言っているように、格差社会をなくすためには、一つの国だけではできないからだ。世界を一つにして世界中の人々がひとつになる。貧しい者などいない世界。一部の者だけが豊かさを謳歌しない世界。この理想郷を地上にもたらすことが私の使命なのだ。

「いいですか! 世界をひとつに。格差のない社会を作るんです!」

 私が熱弁をふるっていると、またしても奴らが邪魔に入った。いつもこうだ。白衣を着た邪悪な奴ら。何人もで私を捕まえてまたあの狭い部屋に連れていくのだ。勝手なことを言いながら。

「やはりまだ治っていませんね」

「そうだな、妄想性障害は、そう簡単になくなるものではないんだ。人格に基づいているものだからな」 

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第六百四十四話_short ネットの呪文 [fantasy(妄想)]

 あわむむてみめを

 私はPCのキーボードにこの呪文を打ち込む。すると画面が変わって、今度はIDとパスワードを入れろと指示してくるのでそれらを打ち込む。するとまた新たな呪文が現れる。

 むなぶへえもにめ

 しかもこれらの文字はきちんとしたものではなくって、妖しく歪んだ画像として現れるのだ。

”あなたが人間かどうかを確かめるための認証文字です”

 このような但し書きが添えられている。

 私はまた黙ってこの呪文をPCに打ち込んでやる。

 すると、どろろん! と煙が出て悪魔が現れる……わけではないのだ。

 一体何なのだ、最近のPCサイトは? セキュリティだか個人情報だかなんだか知らないが、自分が登録しているサイトにログインする度にこのような呪文の入力を求めてくるのだ。ちょっと前まではこのようなことはなかった。ある時からこのような呪文の入力が求められるようになり、最近では毎回打ち込まなければならなくなった。

 ほんとうに、いったいなんなのだ? 私になにをさせようとしているのだ?

 のすれもいえかを

 うまみりそにすて

 ぐりらものにせう

 たぶん、千回近くこのようなことを毎日続けてきたのだと思う。

 千一回目に、PCから煙が出て、妖しい何者かが姿を現した。 

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第六百四十三話_short 戦国会社員 [literary(文学)]

 俺はふつうのサラリーマンだった。だが心の中ではなんで俺がこんなつまらない組織の中に埋もれていなけりゃあならないんだと常に考えていた。俺の中に眠っているこのポテンシャルは、日本を、いや世界を変えるような場所に置かれなければ発揮できないんだ。

 ある日思った。

 そうだ、もし俺が戦国時代に生きていたら、織田信長や家康を打倒してこの国を統一していたのに!

 あまりにも素晴らしい思いつきに頭に血が上ってしまったのか、くらくらして目の前が明るすぎる光にあふれて気を失ってしまった。で、気がつくとここにいたというわけだ。

 ここというのはまさに戦国時代。俺はタイムスリップしてしまったらしい。

「やや! 面妖な姿の異形の者がおる!」

 戦国時代の農民に見つかってしまった。

 ははぁ、こいつらは洋服というものをまだ知らないんだ。それも今日の俺の格好ときたらすざましくカラフルだもの。そりゃあ驚くよな。ところで、この成り行きからして、俺はお上に連れて行かれて、そこで大名か何かに差し出され、俺が未来から来ただなんて説明しても理解されず、「うむ、面白いやつだ」ということで召し抱えられることになり、そのうち噂が広がり織田信長とかに会うことになって、「それがし、わしの家来にならんか?」なんていうことになり、さまざまな戦に参加するも俺は過去の事実を知っているからさまざまに進言できるので、それが勝利に結びつき、やがて俺は信長の右腕にまでのし上がって、やがて秀吉のように天下を取ることになる……こんなような筋書きなのだとすっかり信じ込んでいた。

 あれから三年。俺はお上に差し出されることも、信長に見出されることもなく、河内の奥にある農村で下働きをし続けている。

「おめ、働かねえなら飯はやらんけ。ええか? しっかり耕すんや!」

 これじゃぁサラリーマンの方がましだ。毎日毎日田畑で下働きをさせられて……俺のポテンシャルはこんなところに置いておくべきではないのに!

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第六百四十二話_short あくまでゾクゾクゾンビーズ [literary(文学)]

最初は咳が出て風邪のような症状だ。だがすぐに体温が下がり始め、あっという間に生気を失う。あとは脈が止まるのを待つばかりだ。心停止してから蘇るまでの時間は人それぞれらしい。数秒で蘇ってその場にいた家族に噛みつく者もいれば、棺桶どころか土の中で息を吹き返す者もいるらしい。

いずれにしても、ゾンビにわずかでも噛まれてしまったら、99%は感染する。残りの1%は感染しないのかといえば、まだそのような事例を聞いたことはないが、可能性はあるかもしれないというそれだけの意味での1%だ。

ゾンビに噛まれてしまったら、二十四時間以内に血清を投与しないと必ず発症して心停止を迎え、ゾンビとして蘇ることになる。また、血清を投与しても効かないことも20%程度はあるという。理由はまだ分かっていない。そして血清が効いたとしても、その血清から作った抗ゾンビ化薬を二十四時間毎に投与し続けないと結局ゾンビになってしまう。

ゾンビになってしまっても人間だった時の意識が残っているかというと、これもそれぞれではっきりしたことはまだ解明されていない。なぜならゾンビとコミュニケーションを取ろうとしても、その前に脳味噌が食われてしまうからだ。ゾンビとの対話は難しいのだ。

ゾンビが増え続けている世界で、街は騒然としている。人間のほとんどは屋内でひっそりと暮らしている。街を歩き回っているのは概ねゾンビだ。そして通りを人間が歩いていて一匹のゾンビに見つかると、その人間はゾンビの群れに襲われることになってしまうのだ。

こんなことを言っている私も今は通りにいるのだが、早く人間のいるところに行きたいと彷徨い続けている。急がねば。

向こうの角に人の姿を見たような気がした。

とその直後、一匹のゾンビがこちらに向かって走ってきた。さらにその後ろからは大勢のゾンビが走って来る。大変だ。しかし奴らはすぐに私のすぐ後ろにやって来て、あっという間に通り過ぎていった。もうだめだ。今日も私は脳味噌にありつけそうにない。

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第六百四十一話_short 謎の侵入者 [literary(文学)]

 信じられないかもしれないが、ときとして家人の知らないうちに、家の中に不法な侵入者が潜り込んでいることがある。そして家族の誰もが気づかぬうちに家内に変化がもたらされていて、往々にして不幸のどん底に陥れられるのだ。

 まさか。しっかりとしたセキュリティがあるから大丈夫だなんて思っていたら大きな間違いだ。そんなことでこの不法侵入者をシャットアウトできるものなら、こんなところで皆に警告したりなどしない。セキュリティ会社に任せておけばいいからだ。

 まだ我が家の誰もが侵入者に気づく前のことだが、私は呑気にもソファにもたれかかってテレビで映画なぞを鑑賞していた。それはまさにいつの間にか現れた謎の人物がとある金持ちの邸宅に入り込んでいくという架空の物語だ。その人物とはどうやら宇宙から来た人間ではないものであろうことが冒頭で示されるのだが、劇中では一切そのようなSFチックな表現はない。だが、独特のキャラクターを持ったその人物は、数人の仲間とともに静かにそして少しずつ家人に近づき、しまいには子供たちを仲間に取り込んでしまい、両親を亡きものにしてしまうのだ。過激なシーンはほんの少ししかないし、その人物が何者なのか、何のために家を乗っ取るのか、結局何も知らされないままに映画は終わりを迎えてしまう。

 謎だ。すべてがミステリーだ。だがとても気になる。そして考え、いったいあれは何だったのかという思いが心の中に沈み込んでしまう。 

 ごく日常的な表現の中にミステリアスな設定が入り込むことによって、そこは非日常に変化する。私は気づいてしまった。われわれがなぜ物語を好むのかについて。

 ホームドラマであろうが、恋愛ドラマであろうが、どんな物語でも、そこには謎が含まれている。いや、謎が根底にある。それがいったい何なのかを知りたくって私たちはその物語に惹かれてしまうのだ。

 反対に、実際の日常がつまらなく見えるのは、謎が存在しない、あるいは存在している謎に気づいていないからだ。

 現実生活の中で我々はほとんどのことに疑問を抱かずに淡々と過ごしてしまう。だから面白くないのだ。

 と、我が家のそんなところに先に述べた侵入者の痕跡が見つかったのだ。

「きゃぁ、何これ?」

 最初に気づいたのは妻だった。昨夜の紅茶を入れようと戸棚を開いたときに何かよからぬものを目にしたらしい。

「あなた! なんとかしてよ!」

 妻は異常な声を出して私に救いを求めた。その時点では私には何もわかっていなかったのだが、急いで戸棚のところに駆け付けた時にはもう時すでに遅かったのだ。戸棚の中に収められた壺の周りには得体のしれない黒い斑点が現れていて……。私は叫んだ。

「お、おい! 一体どっから入ってきやがったんだ? こいつら! 退治してくれる!」

 私は妻に頼んだ。

「ほら、あの、シューってやつ、持ってきてくれ」

 しかし侵入者である蟻に毒噴射を吹きかけるということは、同時に砂糖壺やそのほかのものにも毒を噴射してしまうということになるのだ。誠に困った侵入者なのである。

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第六百四十話_short 神々の陰謀 [allegory(寓意)]

「あの洪水からもうずいぶん経つけんねぇ」

 色白の神が言った。

「そろそろなんとかせんと、また人間が増えすぎて世界が滅んでしまうかもしれんから……」

 仏が頷きながら答えた。

「そうそう、人間が増えすぎるとロクなことになりませんからね」

 浅黒い肌を持った神が言った。

「皆さんがそうおっしゃると思って、もうすでに手は打ってますとも。ほら、われらの誰を信じるかで諍いが起きるように、人間の頭にインプットしておいた。そろそろそれが起動し始めているのがわかるじゃろうよ」 

「そうか。今度は人間はどんな船を造って切り抜けるか楽しみばい」

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第六百三十九話_short 凶悪重罪犯の素顔 [news(時事ネタ)]

 カラオケボックスに入った時点で、すでにかなり酔っ払っていると自分でもわかっていた。でも、だからってなによ。今日は酔っ払いたいんだから! ちょっと、健史! 私、テキーラお願い!

 気がつくとほんの一瞬眠ってしまっていたらしい。健史が立ち上がって「俺、先に帰るよ」と言った。

「なによ。何でよ! 帰んないでよ。こんなに酔ってるの、あなたのせいよ!」

 呂律の回らない口で言ったが、あいつはさっさと出て行ってしまった。

「ちょ、ちょっとー! 待ってよ!」

 有希はふらふらしながら健史の後を追った。カラオケ店を飛び出したが、もう健史の姿は見えない。と思ったら、後ろから誰かが声をかけてきた。なあんだ、健史の奴隠れてたな! 振り向くと奴がいた。

「あの、カラオケ代、払ってください」

 な、なにぃ? 私に払えっていうの? あんたが払いなさいよ!

 有希は急に頭にきてそいつの股間を蹴り上げた。

「ちょ、ちょっと! なにすんですか!」

 奴がつかみかかってきそうになったので、目をつぶって右手を突出したら、顔面にヒットしてしまった。

「あっつ!」

 倒れた男は健史ではなく、見知らぬ若い店員だった。 

 

 パトカーの中で警官が有希に言った。

「あんた、大変なことそしちゃったね。これは強盗だよ。お金を払わずに暴力までふるって」

 でも、有希の記憶はあいまいだ。お金? 健史が払ったんだと思った。暴力? あ、あたし、そんな。健史に絡んだだけなのに……。

 

「強盗傷害容疑で連行された過去泉有希容疑者ですが……犯罪評論家の山口さん、これはどのくらいの罪になるんですか?」

「そうですね。これは結構な重罪ですよ。無銭飲食で暴力ですからねえ、強盗傷害ですと最低でも懲役四年、執行猶予もtsくんでしょうねえ」 

「容疑者は半年前にネイルサロンを立ち上げたばかりで、ブログをみる限りは、とても傷害事件を起こすような女性には見えないんですが……」

「そうですね。ふつうの人がまさかこんな事件を引き起こすなんて、世の中わからないですねえ……」

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