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第七百六十話_short 十八日 [fantasy(妄想)]

「おい、あと半月あまりだぞ!」

 誰かが叫んだ。ビジネスであろうが、スポーツであろうが、芸術であろうが、どんな場面でも、目標に接近すると皆があわただしさを露わにしはじめる。

 もうその目標値に達することが目に見えていたとしても、皆の心は高揚し、早くその日が来ないかと待ち遠しさを隠しきれない者や、もしかしてなにかのトラブルで直前に頓挫するのではないかと無用な不安感を醸しはじめる者、もう大丈夫だと高をくくってのんびり構える者など、それぞれが典型的な姿勢を見せるようになるのだ。

「大変だ! もうネタがつきたぞ!」

「なに? それはえらいことだ。早く取材チームを送り出せ!」

「いや、その取材チームがもはや精魂尽き果ててお休みを取っているので……」

「なんだって? じゃぁ、次の誰かを選びだせ!」

「選び出せったって、もう誰もいませんよ。というか、そのそもここには最初からひとりしかいないんで……」

 私の頭の中で複数の人格が好き勝手なことを言う。 

 今回七百六十話。表題の七百七十七話まで、今日を含めてあと十八話。しかし、息切れも激しく、脳内で騒動がおきているのだった。

脳内ポイズンベリー.jpg 

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第七百三十八話_short 電子笛 [fantasy(妄想)]

 夜中に目が覚めた。

 どうやら昨夜は飲みすぎたらしい。普段なら朝まで熟睡して目が覚めるようなことはないのに、こんな中途半端な深夜に目が覚めるとは。酒を飲むと喉が渇いて目が覚めてしまうのだ。しかし、そんなに飲んだかなぁ? トイレに行こうと思って頭を上げてぎょっとした。枕元、というかベッドサイドに誰かが立っているのだ。

 泥棒? そう思いながらもなぜだかそれ以上驚くこともなく冷静な声で言った。

「だ、誰?」

 暗闇に目が慣れてきて、そこに立っているのは白い髭を生やした老人であるらしいことが見えてきた。

「ワシは神じゃ」

 老人が言った。

 は? 何言ってんの? そう言おうとしたら先に老人が言った。

「お前は選ばれたのじゃ。この国を、世の中を良くするためにな」

 え? 国? 世の中? 頭の中が混乱した。

「お前は昔、楽器をやっていたな。サックスかセックスか知らないが、そんな楽器を」

 なんだ? なぜそれを知っている? 確かに俺は学生時代にサックスホンを吹いていたが……それとこの爺さんと何の関係が?」

 老人はどこから取り出したのか、銀色に輝く棒のようなものを差し出しながら言った。

「これは世直しの笛じゃ。これをお前に授けよう」

 老人がその笛を突出したので、自然とてが出て受け取った。

「は? 世直しの笛?」

「そうじゃ。お前はその笛を持って出かけるのじゃ。そこいら中でその笛を吹けば、世の中の争いごとや悪しきことどもがすべて良い方向に転がるであろう。若い頃に培った笛の技術でそれを実行するのじゃ」

 驚いた。 

「え? 俺が? 選ばれた? 世直し?」

 耳に入った言葉の断片を俺は繰り返した。

「そうじゃ。お前はこの笛で世直しをするために選ばれたのじゃ。さぁ、吹いてみい」

 俺は言われるままに笛に口を充てて息を吹き込んだ」

 すーっっっ……。

 音が出ない。

「鳴らない」

 そう呟くと老人が言った。

「おお、すまん。それは電子笛といって、ほれ、この電源をコンセントに差し込んでつなぐのじゃ」

 なんだか状況にそぐわない気がしたが、言われるままにでンゲンアダプタをコンセントに差し込んで笛につないだ。それからもう一度楽器をくわえて息を吹き込むと、夢のような音が出た。サックスでもない、フルートでもない、ましてやただの笛でもない、まさに天上の響きとでもいうような音色。

 俺はすぐに昔覚えた運指を思い出して、古いラブソングのメロディを吹いてみた。

「おお! さすが選ばれし者。そうじゃ、それでよいのじゃ。そのような美しい調べで、世の中を直すのじゃ」

 夜中だというのにたたき起こされた俺は外着に着替えて楽器を胸に抱いた。

「さぁ、調べを奏でながらこの部屋から出発するのじゃ」

 本当に夢幻のような状況の中で俺は神と名乗る老人に言われるままに楽器を吹いた。またしても天上の音楽が鳴った。俺は吹きながら玄関に向かった。と、いきなり音が止んで、俺の息の音だけになった。

 ひゅー。

 世直し電子笛から電源コードが抜けてしまったのだ。

 振り返ると、爺さんはもういなくなっていた。 

ewi4000.jpg 

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第七百十六話_short かつて諦めた夢 [fantasy(妄想)]

 夢は大切にしなさい。

 夢を諦めてはいけない。

 願い続ければ夢は必ず叶う。 

 若者が描く将来の夢について、人は無責任にもそのようなことを言う。それに実は私自身も若い頃はこんな言葉を信じたいと思ってはいた。だが実際にはいつしか夢を諦め、諦めた夢がなんであったのかさえ忘れて、現実の中で生きている私がいた。

 言葉ではいくらでも格好いいことは言えるが、実際に夢の実現に向けて生きることは様々な障害の前に屈してしまうのだ。

 自分の子供がミュージシャンになりたいと言ったとして、親はどう答えるだろう。

 夢を持つことはいいことだけど、ミュージシャンなんかで成功している人間はほんの一握りしかいないんだよ。そんな厳しい世界で生き残れると思うのか? しがない無名のギター弾きで食べていけると思うのか? 普通に公務員にでもなって、音楽は趣味でやればいいじゃないか。

 夢が絵描きだったらどうだろう。たぶん同じだ。絵描きなんかで食べていけるわけがない。天才と言われた画家だって世に認められるのは死んでからだったりするのだぞ。絵が好きなら、教職をとって美術の教師にでもなればいい。

 そのほかどんなものだって、夢と言うものは他人から見れば無謀なものであり、たいていは無理だやめておけと忠告されるか一笑に付されるのがオチだ。

 だからというわけでもないが、たいていの人間は自分でも同じように認識し、なんて無謀な夢を描いていたのだ。もっと堅実な生き方をしないと人生ぶち壊しになる。そうだ普通の会社に入って普通に家庭を持って幸せになろう、なんて思ってしまうのだ。つまり、結局は自分自身で障壁をこしらえてしまって、それを理由に自分から夢をあきらめてしまうわけだ。

 それでも時折、昔描いた夢を思い出しては、なぜあのとき諦めてしまったのだろうなんて少し後悔したりもする。いいや、自分で決めたことなんだからいいじゃないか。しかし世の中には夢を実現している人間もいるのに。こうしてゆらゆらと揺れる気持ちが再び再燃してしまう。

 夢の実現を困難にしているのは自分自身なのだ。

 いま頃になってそう気づいてももう遅い……いや、いまそう決めてしまうのは若い頃に諦めたのと同じじゃないか。いまからだって遅くは無いかも知れない。いや、きっと遅いなんてことは無い。いまこそあのとき描いた夢を実現させるときなんだ。

 年老いた私は人生の降板を迎えてようやくそう気づく。

 もっと若いうちにそうするべきだったとも思うが、そんなこと考えても仕方がない。いまだ。いまこそ夢を手に入れるんだ。

 それからすぐに私は夢を実現するために計画を練り、仲間を集め、道具を揃えた。

 目当ての銀行は目の前だ。

 億万長者の夢が間もなく実現する。 

強盗.jpg 

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第六百五十九話_short 戦う男 [fantasy(妄想)]

 子供のころから体が弱くて、病気がちだったために、体育の時間も見学するようなことが多い男の子だった。そんな子供と遊びたがる子は少なく、友だちもほとんどいなかった。

 ふつうはそんな子供でも大人になれば立派な男になるものだが、どういうわけか僕は成人してからも力も弱くてひ弱なまま育ってしまった。不健康そうな色白でひょろ長い体つきをしている男がモテるわけもなく、虚弱体質をいつもコンプレックスに思っていた僕はいつも強い男になりたいと願い続けていたのだが、ついぞそうはなれないままに生涯を閉じることになったのだ。それでも平均年齢以上には生き、いわゆる大往生ではあったのだが、死ぬ間際に願ったことは、今度生まれ変わったら強い男になりたい、ただそれのみだった。枕元でおじいちゃんの名前を呼ぶ息子と孫の声に見送られて僕は昇天した。

 どれくらいの時間、いや年月が過ぎたのかわからない。僕はいきなり目覚めた。目覚めたというか、すでに新たな生を受けて子供時代を過ごし成長しているのだが、そこまでの記憶はわからない。とにかくある日突然前世の記憶がよみがえったとでもいうのだろうか、とにかく目覚めたのだが、ここはいったいどこなんだ? 周囲が騒がしく、男たちが大声を張り上げて何か叫んでいる。

「おりゃあ、いかんかい!」

 どうやらけしかけられているのは僕らしい。僕は丸い生けすのような仲に入れられ、目の前の鶏がくちばしでつついてくる。な、なんだこれは? 体が勝手に動いて相手の鶏に飛びかかる僕。僕はどうやら願いどおりに、強い雄に生まれ変わったらしい。人間ではなかったが。 

軍鶏.jpg 

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第六百四十四話_short ネットの呪文 [fantasy(妄想)]

 あわむむてみめを

 私はPCのキーボードにこの呪文を打ち込む。すると画面が変わって、今度はIDとパスワードを入れろと指示してくるのでそれらを打ち込む。するとまた新たな呪文が現れる。

 むなぶへえもにめ

 しかもこれらの文字はきちんとしたものではなくって、妖しく歪んだ画像として現れるのだ。

”あなたが人間かどうかを確かめるための認証文字です”

 このような但し書きが添えられている。

 私はまた黙ってこの呪文をPCに打ち込んでやる。

 すると、どろろん! と煙が出て悪魔が現れる……わけではないのだ。

 一体何なのだ、最近のPCサイトは? セキュリティだか個人情報だかなんだか知らないが、自分が登録しているサイトにログインする度にこのような呪文の入力を求めてくるのだ。ちょっと前まではこのようなことはなかった。ある時からこのような呪文の入力が求められるようになり、最近では毎回打ち込まなければならなくなった。

 ほんとうに、いったいなんなのだ? 私になにをさせようとしているのだ?

 のすれもいえかを

 うまみりそにすて

 ぐりらものにせう

 たぶん、千回近くこのようなことを毎日続けてきたのだと思う。

 千一回目に、PCから煙が出て、妖しい何者かが姿を現した。 

smok01.jpg

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第六百三十八話_short ノンデュアリティの世界 [fantasy(妄想)]

「あなたと世界は別ものではないのです」

 僧侶のような出で立ちをした女が言った。

「あなたは自分という個体の中に閉じ込められている、世界とはわけ隔てされている、そう考えているのではないですか? それはあなたが皮一枚で、世界から孤立しているように感じているということなのです。世界とあなたが別物である、そういう二元性に捕らわれてしまっていることが不幸の始まりなのです」

 女は魔術のような言葉を次々と繰り出していくのだが、私はそれをまるで催眠術師が唱える呪文か乳母の子守唄のように感じながら眠気の中に誘われていた。

「ノンデュアリティとは、世界は二つではないという真理を表す言葉。ノンデュアリティ、日本語で言うと二元性とはもともとサンスクリット語で二つではないという意味の……」

 夢か現実か定かではないまどろみの中でわたしは、女の言葉がすべて理解できたような気がした。理屈ではなく、まるで仏陀が悟りを開いたように、いきなりわかったのだ。理屈ではないのでこれ以上言葉で表すことができない。とにかく見えてしまったのだ。

 そうか、この世は世界の中に私がいるわけでも、私の前に世界が対峙しているわけでもない。私が世界であり、世界は私でもあるのだ。私が生きようが死のうが、泣こうが笑おうが、いまここにあるものが世界であり、それがすべてなのだ。

 そうわかったとたん、僧侶姿の女は私になり、私は僧侶姿の女になった。そして同時に世界中が僧侶姿の女になった。 

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第六百二十五話_short 昔はできなかったこと [fantasy(妄想)]

 昔はできなかったことが、いつの間にかできるようになっている。

 そう気がついたことはないだろうか。

 逆上がりができるようになったとか、でんぐり返しができるようになったとか、そんなレベルのことではない。

 わかりやすい例でいえば、たとえば人から自分の欠点等の指摘を受けても頭に血が上らなくなったとか、文章を書くのが苦手だったのに近頃は少しはましな文章を迷わずに欠けるようになったとか、そんなことだ。

 経験や学習とはきっとそういうことなのだろう。とりわけ私は大人たちにできていることがなぜ自分にはできないのだろうと思い、いつも大人の真似をして背伸びをして生きてきた。早くから煙草を吸ったりお酒を飲んだりもした。車の免許も十八歳になるとすぐに取った。学校を出るのももどかしく、学生時代に起業して会社の社長にもなった。そういうことをする度にきっとステップは上がっていたのだろうが、当時は目の前の山を越えるのに一生懸命で、山に到達できていることにすら気づかないまま次の山に登りはじめた。

 山というのはひとつの比喩に過ぎないが、そうした山をひとつづつ登り、越えていくことを繰り返していくうちに、できなかったことが次々とできるようになっていったのだろう。

 あの頃はとても考えも及ばないようなことさえできるようになっているいまの私を、昔の自分が見たらいったいどう思うのだろう。いやいや、そんなことを考えてみてもなんにも生み出さないな。まだこれから先にも大きな山はいくつもあるのだからね。

 私は翼のように大きく広げた両腕を羽ばたかせながら生身のままで浮かんでいる空の上から地上を見渡し、次のことを考えていた。 

tobu ningen .jpg 

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第六百四話_short 歩きスマホ [fantasy(妄想)]

 歩きスマホというものが社会問題になっている。スマホを見ながら歩く人が引き起こしてしまう事故が増えているという。

 スマホというのはなかなか便利な道具で、言ってみれば小さなパソコンとして使えるために、ちょっとした用事ならわざわざパソコンを使わなくてもスマホで済ませてしまう。会社を出てから、しまったメール見るのを忘れてた! なんていうときでもポケットからスマホを取り出して……というわけだ。

 少し前までこの世の中にスマホなんてなかった。携帯電話が世に出てからは歩き携帯をする人がいなくもなかったが、スマホほどではなかったのだろう。社会問題にまではならなかった。それほどスマホは携帯電話の数倍使えるということなのだろう。 

 会社を離れてまでスマホで仕事するなんて、なんという勤勉な! と思っていたら、そうではないらしい。ほとんどの人はソーシャルネットワークで誰かとコミュニケーションをしているか、あるいはゲームをしているらしい。何も歩きながらそんなことしなくてもと思うのだが、ゲームでもネットでもできてしまうからしてしまうのだ。

 この問題を解決できればきっと世の中の役に立つことができるのではないか? 私はそう考えた。その上きっとお金儲けも! 実はこっちの方が大事なのだが。

 歩きスマホ禁止令なんて政府が考えても誰も賛成しないだろう。であれば、安全に明日来スマホができるようにすればいいのだ。日夜私は考え続け、ついに妙案を考え出した。

 スマホのボディを透明にすればいいのだ。そうすればスマホを見ながら地面や前方が見えるから、誰かとぶつかったりしないだろう。このアイデアをメーカーに持ち込んだところ、ボディはガラスやプラスチックでスケルトンにできるが、中身までは無理だということだった。

 再び私は考えた。そうだ、アプリだ! スマホの背面にはカメラがついているので、このカメラで前方を画面に映しながらメールやゲームができるようにすればいい。これはなかなかのヒットだ。早速この歩きスマホアプリの開発に取り組んだ。開発に当たっては技術者を雇ったのでお金がかかったが仕方がない。半年ほどでアプリは出来上がり、世に出そうとした時、既に国が動いていた。

 国が考えた対策は、道に線路を描くというものった。人が歩く動線を歩道に書き、みんながその上を歩きさえすれば、スマホをしてようが他所見をしてようが人と人がぶつかることはないのである。

 かくして国中の道には人が歩く動線が描かれ、人々はその上を歩きはじめた。ところが間もなくそれさえも必要なくなってしまった。スマホ自体がなくなってしまったのだ。

 外宇宙からやって来たというその生命体は集合意識で統合されていて、地球上のすべての人間をその集合意識の中にとりこんでしまったのだ。こうして人類は個々間同士でコミュニケーションをする必要も、ゲームをすることもなくなった。すべてがひとつになったのだ……。

 自分のスマホを見ながら膨らんでいく妄想は、ここでやっと収まった。 

歩きスマホ.jpg 

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第六百二話_short 連休ボケ [fantasy(妄想)]

 今日は朝から身体がだるいんだ。昨日まで何をしていたというわけでもないけれども、たぶん精神がだらけてしまっているせいだと思う。なんでだらけてるっかって? そりゃあ長い休日を過ごしたからに決まっている。今年のゴールデンウィークは、間に二か所も飛び石の平日があって、もう面倒くさいから間の日も全部休んでやったんだ。そうするとなんと二十九日から十日までの十二連休になったんだ。え? それは五月のゴールデンウィークの話じゃあないのかって? そうだよ、あたりまえじゃないか。ゴールデンウィークを目いっぱい休んで今日から仕事なんだよ。

 なんだって? いまはもう六月? それも半ばだって? ははは。そうだよね、これ読んでる人にはそうかもね。だって俺、この記事をひと月も前に書いてるんだもの。これを書いている俺がいるのは五月十一日。昨日までがゴールデンウィークだttんだよ。そうかぁなるほど、書いている俺とそれを読んでいる人の間には約一カ月のタイムラグがあるってわけなんだね。なんだかちょっと面白いね。まるでタイムマシーンにでも乗ったような気分になってきたぞ。

 ん? あれ? でもおかしいな。俺の時計は日付も出るんだけれども、どういうわけか五月じゃなくって六月十五日になっている。なんでだ? そういうことだ? そうだ、新聞はどこだ?

 俺は紙の新聞はとっていないが、ネットで見ることができる……なんだって?今日は、六月十五日!

 大変だ! どうやら俺は連休を遊び過ぎて、疲れ過ぎてしまって寝過してしまったらしい。一か月も! 

休みボケ.jpg (ネットから拝借してまーす)

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第五百七十六話_short 妄想彼女 [fantasy(妄想)]

 妄想彼女っていうネットゲームを聞いたことがある。たぶん、オタク系の彼女いない歴十数年というような寂しい男子が入れ込むようなエッチなゲームなんだろうと思って、興味すら持たなかったのだが。

 ところが最近になって本当に妄想彼女を愉しんでいる男がいるら強いと知った。愉しんでいるというか、自作自演で彼女がいるような写真やストーリーを作ってネットにアップしているというのだ。それが書籍にもなり、世界的にも有名になり、ついにはテレビドラマ化もされて来週からオンエアされるらしい

 サイトを見るとなかなか面白い。

「彼女とデート」などというタイトルとともに、彼女の手がフレームインしてハンバーガーを食べさせてもらっている男の顔がうつっている。しかしそれは実は自分の手にマニキュアなんかを塗って彼女の手に見立てて、自分でアーンしているのだ。電車の座席に座っているリア充カップルの後ろ姿がうつっているような写真も、ウイッグを使って二人いるように見せかけた後頭部の写真だったり。

 面白いことを考えるものだなぁ、僕はそう思って一緒に住んでいる可愛い彼女にも教えてあげる。

「ねぇねえ、これ見てご覧、面白いことをしている人がいるよ」

 彼女はどれどれと言って僕のスマホを覗きこみ「なあにこれ? どうなってんの?」って聞くから、これはこんな風にして写真を取ってるんだよって説明してあげると、一瞬関心したような表情をした癖に、「なあんだ、つまり寂しい男ってことでしょ? 本当の彼女を見つけりゃあいいのに」なんて言ってもう興味を失ってしまったらしい。女ってのは、こういう遊び心に関心を持とうとしないのかなぁ。どうしても現実主義なんだなあ。 

「なんだよ、こういうお面白いと思わない?」

 せっかく一緒に楽しもうと思ったのにという勝手な思いからつい大声をあげてしまう。

「何よ、急に大声あげて。それにさっきからひとりでぶつぶつ言って」

 しまった! 妻にばれてしまったか?

「あなた最近変よ。ぶつぶつ言ってたり、ひとりでにまにましていたり。ちょっと大丈夫なの?」

 キッチンで洗い物をしていた妻がいつの間にかすぐ傍に来て僕の顔を覗きこむ。僕は慌ててスマホの画面を閉じて「いや、なんでもないんだ」とごまかそうとするのだが。まさか妻以外の可愛い彼女のことなど話せるわけがない。 

妄想彼女.jpg 地主恵介DailyPortalより

妄想彼女

妄想彼女

  • 作者: 地主恵亮(じぬし けいすけ)
  • 出版社/メーカー: 鉄人社
  • 発売日: 2014/10/27
  • メディア: 単行本

                      了 


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